スタートアップ企業資金調達のプレイブック
DocSend スタートアップ企業インデックスは、最新の資金調達トレンドと成功する方法について、データに基づくインサイトを提供します。
弊社の調査について
DocSend の資金調達に関する調査である DocSend スタートアップ企業インデックスは、スタートアップ企業の資本調達方法に関するインサイトを、スタートアップ企業のライフサイクルの段階ごとに提供します。弊社は、資金調達トレンドを明らかにし、変化する投資家の行動を評価するために、創業者がどのようにプレゼン資料を作成し、ミーティングの場を設け、投資家にプレゼンを行っているかを研究しています。
データに基づく調査は、スタートアップ企業の資金調達プロセスの謎を解き、ベンチャー キャピタルの支援に基づく資金調達に関して創業者が抱える多くの質問に答えます。
調査に対する考え方
DocSend では、チームのメンバー構成に関するトレンドや投資家へのアウトリーチ戦略といった要素に関する調査データと、プレゼン資料の構成と使用の動向を明らかにする、DocSend のプラットフォームから得られる独自のデータを組み合わせます。また、数字に隠された生きた経験を裏付ける、業界専門家からの定性的データも使用します。
調査へのご協力のお願い
プレシード段階のスタートアップ企業の資金調達:知っておくべき情報
プレシードの資金調達トレンド
2021 年と 2022 年の間に、投資家のプレゼン資料の閲覧時間はかつてなく減少しました。また、2022 年に資金調達市場が投資家側にさらに有利になったことに合わせて現れた、4 つの新しいトレンドも特定しました。
VC がプレシードの資料に費やす時間が減少
2021 年と比較して、2022 年は投資家がプレシードのプレゼン資料の精査に費やす時間が大幅に減少しています。また、心に響かないプレゼン資料には、すぐに「No」の判断を下すようになっています。

プレゼン資料への最初のアクセスとその後のアクセスを比較すると、弊社のデータは 2021 年と 2022 年の間に別の著しい相違を示しています。2022 年の投資家は、最終的に資金調達に至らなかった資料に対するフォローアップ目的でのアクセスに多くの時間を費やしています。
投資家に有利な市場で、4 つの新しいトレンドが明らかに
2021 年と 2022 年の間に、VC によるプレゼン資料の精査に関して 4 つのトレンドが現れました。1 つ目は、2022 年は VC が資金調達に成功した資料の製品セクションに費やした時間が 52 % 減っていること、2 つ目は、ビジネス モデル セクションに費やした時間が 42 % 減少していることです。これら 2 つのトレンドは、創業者にとって、これらの重要なセクションに注目してもらう時間が減っていることを意味しています。また、2022 年に 3 番目に精査されたセクションは、事業目的を簡潔に説明するセクションでした。このセクションは、2020 年と 2021 年では至って普通の注目度でした。最後に、資金調達に成功しなかったプレゼン資料の明暗を分けた大きな要因がトラクションでした。資金調達に至らなかった資料では、2021 年と比較して、2022 年の VC がこのセクションに費やした時間は 41 % 増加しました。

プレシードの資本へのグローバルなアクセスが続く
2021 年から 2022 年の弊社のデータセットでは、米国北東部にある企業が最も多く、米国南部がその後に続きました。ところが、米国以外に拠点を置くプレシードの企業の割合が、今までになく高まっています。シリコン バレーという従来のハブの外からでも容易に資本にアクセスできるようになり、それがパンデミック後の傾向として定着していることが、この地理的な分布からわかります。

プレシードのプレゼン資料分析
資料内のセクションの順序は、成功した企業とそうでない企業で大きな違いはありませんでした。どちらのグループにも特定のセクションがあり、そのセクションの場所はほぼ同じでした。しかし、弊社のデータセット内の成功した企業は、ビジネス モデルと資金調達目標のセクションを資料の最後に置き、成功しなかった企業はそれぞれ最初と真ん中に配置する傾向がありました。


プレシードのプレゼン資料テンプレート
プレシード段階の創業者が効果的なプレゼン資料を作成できるよう支援するため、プレゼン資料作成の攻略法に、セクションごとのガイドを設けました。このガイドは、プレシードを対象とした調査を元に作成されており、その後のラウンドと比較した場合のプレシードの資料の独自性について説明します。創業者が自分の会社ならではのストーリーでカスタマイズできる、プレゼン資料テンプレートも作成しました。

シード段階のスタートアップ企業の資金調達:知っておくべき情報
シードの資金調達トレンド
2021 年と比較して、2022 年は VC の警戒感が高まり、投資家によるシード段階のプレゼン資料の閲覧時間はこれまで以上に減少していることがわかりました。また、資金調達がより困難になりつつある環境のなかで、投資家の精査に関する 3 つのトレンドが特定されました。
2022 年は VC によるシードの資料の閲覧時間が減少
プレシード段階で見られたように、2021 年と比べて、2022 年に投資家がシードの資料(成功したものと失敗したもの両方)の精査に費やした時間は減少しています。

資料への初回アクセスとその後のアクセスを比較すると、2022 年の投資家は資料を読み進める速度が速くなっていることをデータが示しています。ただし、最初に読んだときに投資家を納得させられず、成功しなかった資料に対しては、追加の(批判的な)精査が行われていました。
シードの資金調達トレンド:@DocSend のデータ セットによると、資金調達に至らなかった資料のビジネス モデル セクションに投資家が費やした時間は 233 % 増加しました。クリックしてツイート2022 年の投資家は 3 つの差別化要因に注目
2022 年の VC は警戒感を高めています。弊社のデータでは、シードの企業の評価方法に関して 3 つの重要なトレンドが見られます。まず、資料の閲覧時間メトリックは全体的に低下しているものの、2021 年と比較して、2022 年に資金調達を得た資料のトラクション セクションでは、VC による閲覧時間が 28 % 増加しています。そして、成功した資料のソリューション セクションの閲覧時間は 56 % 減少しています。最後に、最終的に資金調達に至らなかった資料のビジネス モデル セクションを精査するのにかけた時間は 233 % 増加しています。これらのトレンドは、投資家が明確で簡潔なストーリーを優先しているものの、経済が不安定な時期にあっても勢いを示すものとして、有意義なトラクション メトリックに注目していることを示唆しています。

多数の投資家に連絡しても良い結果は得られない
より多くの投資家に連絡するとミーティングの数は増えるかもしれませんが、弊社のデータによると、成功した創業者の多くがシード ラウンドでの資金調達のために連絡した VC は 80 社未満でした。連絡した投資家の人数と資金調達金額の相関関係はさらに弱いものでした。シード段階の創業者は、時間のかかるアウトリーチ計画を練るのではなく、その業界の企業に資金を提供している適切な投資家との関係性を構築する必要があります。がむしゃらに進めるのではなく、よりスマートにプレゼンを行うことが、引き続き有効な戦略となるでしょう。


シードのプレゼン資料分析
シードの資料のセクションの順序に関して言えば、成功した資料とそうでない資料を比較すると、いくつかの重要なパターンが見えてきます。成功した資料では、すべての重要なチーム スライドが資料の最初に置かれる傾向がある一方、成功しなかった資料では真ん中または最後に置かれることが多くなっていました。それに関連して、成功しなかった資料では製品セクションが資料の真ん中に配置され、成功した資料では最初に製品セクションを強調する傾向がありました。


シードのプレゼン資料テンプレート
シード段階の創業者が効果的なプレゼン資料を作成できるよう支援するため、プレゼン資料作成の攻略法に、セクションごとのガイドを設けました。このガイドは、シードを対象とした調査を元に作成されており、シードの資料とプレシードの資料の違いについて説明します。創業者が自分の会社ならではのストーリーでカスタマイズできる、プレゼン資料テンプレートも作成しました。

シリーズ A 段階のスタートアップ企業の資金調達:知っておくべき情報
シリーズ A の資金調達トレンド
シリーズ A の資金調達を成功させるには、より前向きなアプローチが必要です。このラウンドは規模が大きく、ミーティングの受け入れ率もはるかに高くなります。投資家は将来に向けた拡張性と位置付けを確認したいと考えています。
成功したシリーズ A の資料は将来に焦点を当てている

トラクションは再現性があり、バラエティに富む必要がある
シリーズ A の資金調達資料が長くなる理由の 1 つに、強固なトラクション セクションを用意する必要があることが挙げられます。これより前の段階では、1 種類のトラクションのみを示せばよかったかもしれませんが、シリーズ A の企業は、受賞歴や損益メトリックなど、複数の形式のトラクションを提示して、プロダクト マーケット フィットの強みを VC に示す必要があります。さらに、これらの種類のトラクションに長期的な再現性があることも示す必要があります。

リード投資家を慎重に選択
資金調達に成功したほぼすべての企業(88 %)は、以前と同じ投資家にシリーズ A ラウンドに参加してもらっています。では、企業はラウンドをリードする投資家をどのように選んでいるのでしょうか。ブランド名に基づいてリードを選んでいると回答した企業はわずか 8 % でした。対照的に、30 % は業界固有の経験があることを根拠に、23 % はリードが最良の条件を提示したことを根拠にリードを選択していました。これらの数字から、実際に行われる取引の種類、業界の経験、およびリード投資家が提供できるつながりと比べて、小切手に書かれる名前は重視されないことがわかります。

シリーズ A のプレゼン資料分析

スタートアップ企業の資金調達におけるジェンダーと人種のバイアス
資金調達の減速がもたらす影響の乖離
2022 年のマクロ環境は、資金調達を目指す創業者にとって厳しい状況を生み出しました。しかし、すべてのチームが等しく影響を受けているわけではありません。手元のデータによれば、経済の先行きが不透明になり投資家が躊躇するなかで、アーリーステージ(プレシードおよびシード)のチームの資金調達額が他のチームより少なくなっています。その一方で、女性のみのチームやマイノリティのメンバーを含むチームは他のチームとは異なる課題に直面しました。たとえば、女性のみのチームの資金調達額は男性のみのチームの資金調達額より 36 % 少なく、2021 年の 25 %から差が拡大しました。

2021 年、マイノリティのメンバーを含む女性のみのチームが参加した投資家会議の数が前年同期比で最大の伸びを示しました。しかし、2022 年は、これらのチームが参加した投資家会議の平均数が 2020 年のレベルに戻ってしまいました。

プレゼン資料の精査とジェンダー
例年と同様、2022 年に「チーム」セクションの精査全体に費やした投資家の時間が最も多かったのは女性のみのチームのピッチ資料でした。男性のみのチームのものに比べて平均 125 % 多くなっています。同じく例年と同様、スライドの確認に費やした時間が最も少なかったのは男性のみのチームのものでした。

VC が「製品」セクションに費やした時間を比較すると、男性のみのチームによるピッチ資料の場合が 103 % 多く、「企業の目的」セクションに費やした時間も同様に 125 % 多くなっています。
プレゼン資料の精査と人種
ピッチ資料の精査について人種構成の面から詳細に見ていくと、多様性のあるチームは白人のみのチームに比べて 4 つのセクションでより多くの精査を受けていました。VC は多様性のあるチームの「チーム」セクションに白人のみのチームのこのセクションより 25 % 多く時間を費やしました。また、多様性のあるチームの「トラクション」セクションに 28 % 多く時間を費やしました。

投資家はまた、多様性のあるチームの「競合」セクションに白人のみのチームのこのセクションより 55 % 多く時間を費やしました。最も大きな差が見られたのは「市場規模」セクションです。VC は多様性のあるチームのこのセクションに 67 % 多く時間を費やしました。
プレゼン資料関心メトリック
- 創業者によるリンクの作成数:創業者が送信したプレゼン資料のリンクの数
- 投資家による資料の操作:VC がそれらの資料にどのくらい積極的に関心を示したか
- 投資家の閲覧時間:投資家が資料を読み込むのに費やした平均時間
プレゼン資料関心メトリックに関する詳細情報、および資金調達アクティビティに関する定期的な分析を追跡するには、弊社の週次資金調達トレンド トラッカーをご覧ください。